JSCF NPO法人 日本せきずい基金

米国人は良い意味で諦めない、
脊髄再生研究に期待して準備


今村 時間がないのにすいません。地元の江戸川のイマムラと申します。この夏 3ヵ月ほどアメリカに行っていたので、見聞してきたことを踏まえてお話しします。トークセッションの題名が 「21世紀に望む・・医療と福祉」 ということなので、日本せきずい基金の活動に望むこと、ということでお話しします。

  脊髄再生の話ですが、向こうで知り合った方に聞いたのですが、やはり向こうでも再生の研究がずいぶん進んでおりました。語学があまり達者でないものですから、本当に理解できているかどうかわかりませんが、その情報によると、ロサンゼルスの病院でも脊髄移植を初めて人体にやるんだというお話を聞きました。脳細胞を採取して培養だかなんかして、自分の細胞をまた埋め込むことによって再生していくんだという話らしいです。 どこまで正確な情報だったかわかりませんが、人体に施せるのもそこまできてる、ということが普通のように語られてました。成功する、しないに限らず、おもしろいなと思ったのは、本当に近い将来、その将来というとらえ方が目の前だと。

  ただ問題なのは、 手術は成功して治ったのに、関節は固まっている。筋肉は衰えている。脊髄はつながっても結局元の体に戻れない、ということでは全然だめだから、今からケアを十分やっておくんだという認識が、 非常に脊損者に多くて、重度の人でも、障害の軽い人でも本当にケアをしっかりやっているんです。リハビリの病院でも入院のとき、リハビリが始まるときに、PTの先生から本当に近い将来治るかもしれないから、そのときのためにリハビリをちゃんとやるんだよ、どういうケアがいいのか自分で身につけるんだよ、という動機づけから入っていくという話を聞きまして、ずいぶんそこが違うなと。

  ある意味あきらめが悪いですね、アメリカ人のほうが。いい意味で、本当にしぶといです。日本の場合、障害の受容というと、 取りあえずもうこれはだめだとあきらめの受容から入ってくる形が多いと思います。自分もそういう指導をされましたし、実際、日本の医療機関というのはそういう形で、まずあきらめなさいよと。残ったのは何ができるか限られたところから見出しなさい、みたいな感じです。向こうの人はアクティブですけど、また治るよと、非常に日本に比べると、ある意味であきらめが悪い。でもそれだけしぶとく、実際にそういう研究もがんばって進んでいる。

  障害者フィットネスというプログラムがあって、それも受けてきました。高齢な方、重度な方、呼吸器を付けている方を含めていろんな方が来ていました。それは地元の大学の中だったんですけど、その中にちゃんとしたインストラクターがいて、個別のメニューを作って、動かない手を電動で動かしたりいろんなことをやってました。 それも本当に治るかもしれない、という思いでやっているんです。

  せきずい基金のこれからの活動にも期待したいんですが、「Stand up 21」 というタイトルもありますし、本当に治療が近くに来ているんだと。ただ本当に元通りになるのかというと、そうではないと思いますので、そのための普段のケアということも大切だと思います。そのへんの活動をやっていきたいと思います。


松井 ありがとうございました。ちょうど 1時間半、時間ぴったりです。私がまとめを 10分させていただこうと思ったんですが、皆様方、ぜひお話したいということで、たくさん貴重なご意見やご提案が出ています。今日、提起されたいくつかはお答えできる課題もありましたが、 今すぐ、それをざっとまとめるのではなくて、本日、せきずい基金の役員の方、皆さん聞いていらっしゃいます。今日の問題提起をうけとめ、整理して、それをぜひ活動の柱に取り上げていただきたいと思いました。また次回、こういう会にできれば脊髄損傷の急性期の治療に当たる医療関係者、ドクターであり、ナースであり、PT、OTのリハビリの関係者の方もぜひ出席してもらって、脊髄損傷の医療福祉、今後 21世紀に向けて何が必要なのか、何を取り組んでいく必要があるのか一緒に考える、そういう会がこれから開催できるようになっていくといいなと思いました。

  脊髄損傷の方は退院後、地域での生活が非常にたいへんでした。その生活を何とかしなければと、もう過去のことに振り返ってはいられないと、福祉の要求に重点をおき、どちらかというと医療を切り離してきた部分がありました。北村さんのお母様がおっしゃったように、 在宅になっても、 長期になっても、脊髄損傷の場合医療は必要です。福祉と医療が密接に関連して協力していかないと、瀬出井さんが希望されるような、曾我部さんが希望されるような生活も実現していかないし、とくに人工呼吸器を使用する人たちは地域で生活できません。

  今回を出発点にして、これから医療と福祉を結び付けるような形で、脊髄損傷の人たちがリーダーシップを取って、一般の人たちにもご自分たちの貴重な経験を還元していくような、そういう役割もぜひ果していただきたいなと思いました。時間が 3分超過いたしました。もうしわけございません。今日は本当に貴重なお話と熱心なご静聴ありがとうございました。

注1声帯が無傷であれば、気管切開していても挿入したカニューレと気道の隙間から呼気が声帯を流れるようにすれば声はでます。方法はカフなしのカニューレを使用するか、あるいは食事以外の日中覚醒時、カフの空気を抜いて声帯に通る空気量を多めにすれば声はでます。



特定非営利活動法人 日本せきずい基金

〒183-0034 東京都府中市住吉町4-17-16
TEL :042-366-5153 FAX :042-314-2753
E-mail JSCF_P@mta.biglobe.ne.jp
URL http://www.normanet.ne.jp/~JSCF/


                       頒価 500円




関連資料 TOP     MENU TOP