JSCF NPO法人 日本せきずい基金

社会環境が整えば普通に生きられる
妻屋さん


妻屋 妻屋と申します。せきずい基金には発足当時から係わってまいりました。一生懸命がんばってまいりましたけれども、係わってきたその理由といたしまして、私が確信的に持っている考え方がございます。それでこれまでがんばってこれたと思っております。

  それはどんなに障害が重くとも、例え呼吸器であろうが、車イスであろうが「社会環境が整えば普通に生きられるんだ」 という強い信念を持っています。それが整わないから、今、いろんな問題が出てるんだと思ってます。そのギャップを、障害者団体がいろんな運動をする等で、埋めなければならないという問題がございます。そのへんでも一生懸命やっております。

  国は障害者プランを出して、おいしいキャッチ・コピーですね――ノーマライゼイション。地域で普通の生活を送るというのが、 一つのキャッチ・コピーになっております。ところがその内容たるや、ホームヘルパーを少し増やしましょうと、老人介護のほうも増やしますけども、障害者のホームヘルパーも少し増やしましょうというような程度。介護の部門についてはですね。その程度で進めようとしております。 しかしそれだけでは、さっき私が申し上げました環境は整わない。従って、引き続き重度の障害者、あるいは四肢マヒの障害者は、生活しづらいというのが続いてまして、これは来世紀にまで持ち越すんではないかと考えられます。

  そんな中で、最近介護保険が来年の 4月から始まることで、いろいろ煮詰まってきますと、 ホームヘルパーが行う仕事、介護するいろんな仕事ですね――家事援助だとか、そういった職種のことについて、だんだん国は苦しくなってきまして、とうとう最近は座薬の挿入、あるいは軟こうの塗布、これをホームヘルパーに許そうではないかという話が出ております。

  さて一方、私たちの日常生活に当てはめますと、それだけではたいへん不十分です。日常生活では、座薬の挿入だとか軟こうを塗るだとかっていうのは、常識のうちの常識でありまして、もっとホームヘルパーにいろんなやってもらいたいことがある。 しかし医療という壁にさえぎられまして、なかなかホームヘルパーが人の体に対して手を突っ込んだり、あるいはチューブで食事を入れたり啖を吸出したり、そういった医療行為は今できないとなってます。そのへんをですね、もうちょっとホームヘルパーの人にがんばっていただいて、ある一定の講座を受けるなり、講義を受けるなりをして、 もうちょっと医療行為をできるようなシステムにすれば、かなり家族の方も負担が軽くなると。 それだけでは全然軽くはなりませんけども、少しでも進むんではないかと思っています。

  そしてもう一つ言いたいことは、地域で普通に生きるということは、自分の年金を介護料に全部はたいてしまうということでは決してないと思うんです。それからもう一つ、普通に生きるということは、そのために家族の方が、全面的に犠牲を払うということでもないと思うんですね。普通に生きなければならないわけですから、家族の方も普通に生きなければならないわけです。障害者の方もそのまま普通に生きなければならないわけですから、そのへんを強く私は訴えています。

  医療行為のことについて、カナダではそういった問題、どういうふうになっているのか、松井先生にちょっとご紹介願いたいと思います。

松井 はい。 医療行為ですね。 カナダでは、 人工呼吸器を使っている人が、普通に地域で生活を可能にしております。免許を持った看護職だけに看護を委ねていたのでは、費用がかさんで難しいという実情があります。日常生活のかなりのケアは無資格の介助者が行っております。日本でいう医療行為も含めてです。

  日本でドクターしかできない気管カニューレの交換も、私は実際見せてもらったことがありますが、無資格の介助者にさせる人もいます。当事者が 40年と長い障害の経験を持っていると、その人が責任を持って介助者に指導できると、行政も認めるそうですし、本人の自己責任で介助者を指導し、病院に行かなくてもカニューレ交換ができますし、あるいは病院に行っている人もいます。1ヵ月に 1回は、ドクターと自分の健康状態を意見交流したいと、大学病院に通っている人もいます。介助者で大丈夫だと自信がある人は、無資格の介助者を指導し、させている人もいる。

  もう一つ、日本と大きな違いは、地域にそういう無資格、あるいは日本でいう準看護婦さんたちを含めて、そういう人たちを教育、訓練する、そういう機関があります。 ですからそういうところに 1日か 2日、それは当事者の費用で、もちろんその費用は、働けない人には州政府から十分な費用が出ております。その費用から、自分で指導できない人は介助者を研修機関に派遣して訓練を受けさせます。たまたま前日にその訓練を受けてきたという介助者にお会いしたことがあります。 在宅で呼吸器を使っている人を訪問したときです。「大丈夫ですか、1日の訓練でケアできますか」、と伺ったところ、当事者も介助者も不安はない、十分訓練を積んできたからと言われていました。

  ですからヘルパーにだけ任すとか、専門職にしかさせないとかではなく、いろんな選択肢を障害を持つ人が持っています。医師にして欲しいという人は病院に出かけていますし、介助者で良いという人は介助者にしてもらっていると、そういう選択肢を持っていました。他に、ご意見、お願いいたします。

▼ (女性) 一言お礼と励ましの言葉を申し上げたいと思います。私は江戸川区から参りましたけど、本当に遠くからいろんなとこからこんなに大勢の方がおいでになって、元気をいただいたような感じでおります。ありがとうございました。そして皆様には誇りを持って。頸髄損傷とか脊損とかになられて、思わぬ、本当に体が不自由になられましたけれども、どんなにかこれからの医学に貢献していらっしゃることと思います。皆さんのおかげで医学も発展しますし、世の中も良くなります。 どうぞがんばってください。 ありがとうございました。

松井  ありがとうございました。もう少し時間がございます。
 どなたか、ご発言を。




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