JSCF NPO法人 日本せきずい基金

トータルな脊髄損傷の研究を推進しましょう
藤川景さん


松井 それでは4番目に藤川さん、私の隣にいらっしゃる藤川景さんにお話ししていただきます。藤川さんは東京の杉並区からいらっしゃいました。実は、藤川さんとこういう場でお会いするのは初めてです。お宅には何度も訪問しました。今日、会場に見えている頸損者が電車で藤川さんのところへ訪問したことがありました。 そのあと私が訪問したときに 「頸損が電車で来るなんて、自分にはとても考えられない」 とおっしゃっていました。 その藤川さんが、今日はたいへんな決心をされて出てきてくださったのでとても感謝しております。

  藤川さんは、12年前、入院中の病院のベランダから転落して、大学病院で急性期の治療を受けられて、国立リハビリテーション病院で 7ヵ月、専門のリハビリテーションを受けられました。その後、自宅が改造されるまで、 一時、民間病院で入院治療を受けられていた。そして 1年1ヵ月の入院治療後、自宅生活を始められました。藤川さんは二つ著書があります。今日販売にも出ておりますが、 最初の本が 『上の空』 (三五館)、 2冊目が『 5秒間ほどの青空』 というタイトルです。 『上の空』 の帯封に、「せめて右腕一本の自由がほしい。でも青空の下を自由に歩ければもう何もいらない」 と書かれています。その言葉はとても強く印象に残っております。それでは、藤川さんよろしくお願い致します。

藤川 どうも、こんにちは。いやぁ、今日もねぇ、本当は電車で来たかったんだよ。バスと電車に乗ってきてね、 「私は 12年ぶりに電車に乗りました」 って言えばさ、「わぁ」 ってうけるかなぁって思ったの。 だけどね、 雨降ったらもうだめなんだよ、 車イスは。ほかの頸損はどうやってバスに乗ったり電車に乗ったりしてるのかなと思ったんですよ。雨降ったらどうしてるんでしょうね、 本当に。 で、結局ハンディキャブに乗ってここまで来たんですけど……。

  ここに妙な道具が置いてありますけど、前のめりをする道具として、長時間の外出には欠かせない必須アイテムなんですよ (車椅子の前においた組立て式脚立は背中の除圧装具)。クリストファー・リーブのスピーチは本当に驚きですよね。ここにいる方はだいたい頸損関係者だからおわかりだと思いますが、人工呼吸器で空気を入れるための穴は声帯の下にあけて、そこでもう肺の空気の出し入れをやっちゃうから、声帯までは空気は届かないはずなんですよね。なんであんなにしゃべれるのかなと、 私はいまだに不思議です。 だれか知っている人がいたら教えてください(注1参照) 。

  私は先ほど、知覚神経と運動神経とは別なのか、京大の先生にお聞きした者ですが、知識が足りないんですよ。入手できる資料は当たったつもりですけど、 まだ、わかんないことがいっぱいあります。素人だから知らないのかっていうとそうでもなくて、ほかのかたの質問に対して、先生が 「私は臨床医ではありませんからよくわかりません」てなことをおっしゃるわけです。トータルに知っている人というのはいないんですかね。そこが求められていると思うんですよね。

  私は膀胱瘻といって、自力排尿ができないんでお腹に穴を開けて、管を突っ込んで排尿しているわけです。尿はバルンカテーテルを留置したら必ず無菌じゃなくなるわけです。普通の人の尿というのは無菌だから、 おしっこを飲む健康法なんてのがあるくらい。私のおしっこはね、 飲めないんですよ。 緑膿菌なんかいますからね。

  緑膿菌があってもいいけど病気にならないためにどうするか。私は膀胱瘻を造設して退院したとき、膀胱洗浄を毎日しろって言われたんですよ、尿路感染を防ぐために。昔はね、脊損は皆死んでたんですよ。縟瘡から敗血症になるのと、尿路から尿路感染を起こして腎盂腎炎を起こして死んでたわけです。最近は衛生健康管理面が発達してきて、 あまり死ななくなったんです。それでもね、膀胱洗浄をしたほうがいいのか、しないほうがいいのかよくわからないですよ。去年まで頻繁にやってたんですが、今年からは無しにしたんです。2週間に 1回のバルン交換のときだけ膀胱洗浄をするということになったんですが、それで今のところうまくいっています。

  尿量は夏場なら 4000cc ぐらい出ます。冬場は3000cc ちょっとですね。ガブガブ飲んでますから。松井先生のご本によるとですね、カナダじゃ 8リットル飲んでるっていうんですよね。6リットルか。6リットルだって2リットルのペットボトル 3本ですよ。そんなに飲めるかなと思うんだけど、そうやって尿路感染を防いでいる人もいるそうです。皆さん、どんどん研究を進めましょう。以上です。




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