JSCF NPO法人 日本せきずい基金

Stand up 21 に参加して

日本理学療法士協会 国際部長
田口 順子


  「日本せきずい基金」 の発会式、 誠におめでとうございます。 どのような立場でお話したらいいのか。 3年前に準備委員会ができたとき、私は、本日お見えになっている曾我部さんとは入れ代わりでしたけれど、ケニヤのナイロビに住んでおりました。長距離電話が、朝、大濱さんから掛かってきました。何事かと思いましたら 「今度、せきずい基金を立ち上げようと思うので、先生手伝ってください」 というお話でした。「ああ、いいわよ」 と、すぐにひとつ返事で、「できることがあったら」 なんて調子のいい話をしました。

  私も帰ってくるといろんな忙しさがあったりして、気にはなりながらも準備委員会には最初は皆勤でしたが、しばらくはニュースや会報を送っていただいたというような関係でございます。

  私は、神奈川リハビリテーションセンターに22年おりましたので、知っている方もたくさん出席されていらっしゃるし、とても懐かしく思います。そのとき大濱さんを私と二人でリハビリしましたダロビックさん、ドイツの理学療法士の人も、今日は来てくださっています。

  いろんな試行錯誤でここまできましたが、まだまだリハビリテーションへの一般の人々の意識的な見方みたいなものが、たいへん遅れている面があります。またせきずい損傷者に対するリハビリプログラムも変わってまいりました。どうせ立つことができないんだからといって、立位訓練がプログラムの中からはずされてきているような感じがいたします。

  その結果として今、高齢者の脊損の方の抱えている問題は、私、武蔵野市のあるプライベートなクリニックに臨床を続けさせていただいておりますけど、その内科のドクターも言っていました。「困るんだよななー、一流のリハセンターできちっとした立位訓練、歩行訓練、立たせるだけでもしてくれないからとても糖尿病と高血圧と肥満が多い」と。立つとか立てないとかということは二の次にしても、立位をとるということがどんなに大事かということでは、モットーの 「Stand up 21」 という言葉はまさにそういう意味も含めて、もう一度アピールしていく必要があるなと思っています。

  私のところにも何人かいらっしゃいます、四肢マヒの方が。「がんばろうよっ」て、一生懸命。ほかの病院でプラトーと言われて、そして見捨てられたと、プラトー。

  プラトーという言葉は、私は決して使わないことにしています。プラトーと言われて、大病院、大リハビリセンターから小さなクリニックに回ってくる。 どうしたのって言ったら、もうだめだって言われた、プラトーって言われた、といったその方が、今、立つところまでいった。寝返りができなかった人がです。そういう喜びを共にできることは、非常にうれしく思います。

  今日はたいへんいいお話を、久しぶりに聞かせていただきました。とても遠いところは尼崎からもおいでになった方がいらした。どんなにたいへんだろうというのは、私、時々電車の中でも拝見します。手も貸せないで、じーっと眺めているだけですけども、ほんとうによくわかります。でも苦労してここに来られている幸せ、喜びは、ここに来たくても来られなかった人が、どれだけ多くいらっしゃるかということを、私たちはおもんばかるべきだと思います。

  私がこの日本せきずい基金の準備委員会のメンバーの方々が大好きなのは、皆さん、ガッツなんです。 挑戦力にあふれているんです。 チャレンジ精神が非常に旺盛で、立ち上がろうというこの意気込み。この心意気をですね、間近に、そのことが、本当に間近にきています。これに向けて私どもは、まだ障害を持っていない者と一緒に後方支援の立場から、協力をしながらこの会を益々発展させていき、目標額の基金額を一日も早く到達できるようにできればと、同じ夢を描いております。

  昨年、アメリカ、カンサスで行われた、世界レーザー学会にいって参りました。神奈川リハビリテーションで私は毎日レーザーをしていました。レーザー治療は従来考えられていたのは痛みの治療です。私も神奈川リハで集大成したものを発表いたしました。ロシアからも8人ほど科学者がきておりました。それは痛みのテーマではありませんでした。頸損に対して、そこの部分を取り出してレーザーを当てる。

  あるいは傷をあけてそこへレーザーを当てる。そうすると今まで寝たっきりの人が立つどころか 5 歩いた、10 歩いたという報告が何人もあったわけです。そういう報告がどんどんされていますし、ほかの国からもいろんなアプローチがかけられております。

  また来年、ドイツでワールド・スパインという大学会があります。これは脊髄再生も含めて、脊髄、脊椎に関するいわゆる討論と研究発表であり 「追い詰めてしまおう」 という世界のスパインの学会がドイツであります。ぜひいらして、ここまで進んでいるんだ、ああ、もう明日だ、明後日だというふうに、希望を持ちながら。参加できるようなものであることを願います。

  しかし、個々の脊髄の再生ができたけれど、立とうにもひざの拘縮がここまでしか曲がらない、立てないという二次的な障害が起きてしまって、立てなくなっちゃったということもあります。いつでも希望にプラスアルファを加えながら、いつの時代か本当の近未来を待ちたいと思います。

  いろいろなアプローチがされていますが、基本的にはおたがいにQOL、すなわち生命の質、生活の質、今の生き方が大切ですから、一つの目標をただ漫然と待つのではなく、今日を、今をどう過ごすかということを、考えながら、ぜひお過ごしいただきたいと思います。今回この講演を日本理学療法士協会後援として取りつけることが、間に合いませんで申し訳ありません。

  厚生省の後援もいただけたようですし、何よりだと思います。これからも多くの力をお願いしていかなければいけないので、各方面への働きかけというのは非常に大事だと思います。この開会式を共に喜びたいと思います。

  本日はどうもおめでとうございました。

        


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