JSCF NPO法人 日本せきずい基金

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障害者自立支援法に対する日本せきずい基金の見解

2005年10月1日

 私たちは、どのような重度障害者でも、また障害種別に関わらず(難病も含む)普通に地域で生活できることが当然であるとの立場から、「この法案を如何にして地域生活自立の為の法律に具体化していくか」との立場より見解を表明しています。

1.重度の障害者が普通に地域で生活できるために
【特に最重度一人暮らし障害者の国庫補助金と障害程度区分の在りかたについて】
(1) (一人暮らしで家族介護を得られない)重度障害者に対する傾斜型配分(障害者の5~10%に相当する最重度障害者の障害程度区分に国庫補助金を優先配分)を行い、「非定型的な」支給額を義務的経費とするべきだと考えます。
(2) 従来どおりの区分間運用を
国庫補助基準額とは、「この額までは、市町村が事業を行えば、国が50%を補助する」というラインです。基準額を超えて市町村が事業を行うと100%市町村負担になります。
国庫補助については、障害程度区分ごとに国庫補助金を配分し、他区分へ補助金を移行できない硬直的な制度設計となっています(厚労省説明:法案不記載)。
1人暮らしの最重度障害者には、別の障害程度区分を作る必要があります。
(又は、同じ最重度障害程度区分でも、1人暮らしに限定して月744時間(1日24時間)介護までは国庫補助対象の基準額とするべきです)
そうしないと、最重度障害者が地域生活を継続させることができません。
また、最重度障害者を含む国庫補助金一般について、従来どおり障害程度区分間で移行できるように制度設計するべきだと考えます。
《注》 区分間運用を認めない硬直的な国庫補助金配分の場合(現在の厚労省案)
例えば障害者予算が低水準の市町村では、急に家族が入院して最重度障害者が1人暮らしの状態になったとしても、審査会が長時間の支給量決定を行うことはありえません。従って、この障害者にとっては施設で生活する以外に選択肢がなくなってしまいます。
国庫補助基準を弾力的で柔軟に運用し、障害者予算が低水準の市町村でも対応できるよう、いかに政省令で方向付けるかが不可欠な課題です。
《注》 私たちが独居最重度障害者の介護保障を最優先課題と考える理由
全国のヘルパー利用者10万人のうち、毎日24時間利用している障害者は0.06%(60人)です(厚労省H15-4及びH16-10調査)。これが0.1%(100人)となったとしても国の支援費総額から見れば微々たるもので、真に24時間派遣が必要な最重度障害者ではその予算(8090億円〕の0.01%(約9.8億円)に過ぎません。
しかし、これこそが1人暮らしの最重度障害者が地域で生活するために不可欠な、命に関わる制度的基盤であり、その制度的保障こそ国の責務であります。
しかしながら、現在、厚労省幹部の口頭説明によると、「1人暮らしかどうかは障害程度区分や国庫補助基準額に反映させない」とのことです。 これでは、全国の利用実態の平均値で基準額が決まってしまい、1人暮らしの重度障害者の割合が多い市町村では国庫補助金が足りなくなる。逆に、1人暮らしの重度障害者の率が低い市町村では国庫補助枠が余ってしまう。
Q・ なぜ人工呼吸器利用者などではなく、1人暮らしのみを着目するのか?
A・ たとえば、家族と暮らす人工呼吸器利用者は1つの市町村に集中するということはない。しかし、1人暮らしの最重度障害者は、1箇所に集中する傾向がある。たとえば、療護施設や筋ジス専門病棟のある国立病院などの立地する市町村には、そこから地域移行した1人暮らしの最重度障害者が増えている。また、重度障害者の地域生活支援を行う組織のある市町村や最重度障害者むけのヘルパー制度が整備されている市町村に1人暮らしの重度障害者が集まる傾向がある。
Q・ 小規模町村では独居障害者以外でも配慮が必要ではないか?
A・ たとえば、支援費利用者が1つの区分で数人しかない町村部では、家族と同居でも人工呼吸器利用者などが出ると、たちまち、国庫補助基準の計算上、補助金が足りなくなる。このため、小規模町村の場合は、国庫補助基準を柔軟に運用すべきである。

2.審査会
【審査会で重要なことは、透明・中立・公平をいかにして確保するかにある】
自立支援法案で新設される市町村審査会には2つの課題・懸念事項があります。
(1) サービス水準が低い市町村は、低サービス水準のまま固定化する懸念があります。(特に、現状で障害者予算が低い市町村や、消極的な障害福祉計画しか策定しない市町村において)
(2) 審査会の委員は市町村が選ぶので、市町村にとって都合の良い審査会となり、透明・中立・公平でなくなることも想定されます。(障害者福祉に消極的な市町村は、障害者予算が低く、審査会が予算内での支給量決定の場になるおそれがある)
上記(1)(2)の課題に対する対応として、
その1. 審査会の委員には、介護を必要とする障害者のうち、重度障害者の地域生活について知識を有する者を必ず入れるよう、政省令で明記するようお願いします。
《参考》 参議院厚生労働委員会付帯決議(平成17年10月13日)
八、・・・・特に、障害保健福祉の経験を広く有する者であって、地域生活に相当 の実績を持ち、中立かつ公正な立場で審査が行える者であれば、障害者を委員に加えることが望ましいことを市町村に周知すること。・・・・
その2. 市町村審査会委員の人選にあたってどのような具体的要件が必要か、厚労省は充分に関係者と議論し、政省令で「透明・中立・公平の確保」のための規定を盛り込むようお願いします。
《注》 例えば、審査会委員の人選前や人選後に、市町村の障害福祉計画や当初予算の範囲で仕事をするように求めることを禁止するような規定を政省令で工夫すること、など・・・。
その3. 1次判定の介護認定項目に、同居か独居(一人暮らし)かの項目を追加するようお願いします。
その4. 非定型的な支給決定案について、2次判定後に再度審査会に「意見を聞くことが出来る」との規定を削除するようお願いします。

3.移動介護について
(1) 短時間(1.5時間まで)の重度訪問介護は「身体介護を伴う移動介護」と同じ単価にするようお願いします。
《注》 家族と同居している重度障害者は、外出の際に、重度訪問介護を使うこととなっている。しかし、重度訪問介護の単価(1.5時間で2410円)は家事援助の単価(1.5時間で2910円)よりも低いため、介護者を派遣してくれる事業者がなくなる懸念がある。(特に、地方の給付水準が低い地域において)
重度訪問介護は1日中介護が必要な1人暮らしなどの重度障害者を想定した制度なので、1日8時間以下(短時間利用の移動介護)の場合は身体介護とするようお願いします。
(2) 地域生活支援事業のガイドヘルパー事業は指定事業所方式に
重度障害者や知的障害者は、移動介護になれたヘルパーが外出時に必要です。
地域生活支援事業のガイドヘルパー事業は、ヘルパー事業者(指定居宅介護事業者)ならどの事業者でも委託を受けられるように、都道府県による指定方式(利用者が自由に事業所を選ぶ方式)にするようお願いします。

4.定率負担の問題
(1) 将来的に障害基礎年金が生活保護水準を上回る額までゼロ負担とするようお願いします。
年収300万円未満はゼロ負担へ
負担の問題 → 所得保障(将来的に) → 消費税のアップ(1%を福祉目的税)

生活保護と障害基礎年金額の給付額のミスマッチ
. 厚労省が想定している世帯形態 生保額/年金額 負担上限額
生活保護 生活保護世帯 生活保護87,970~110,550円 0円
低所得1 2級年金受給者の単身世帯 障害基礎年金2級   66,000円 15,000円
低所得2 1級年金受給者を含む
年収300万円の3人世帯
障害基礎年金1級   83,000円 26,400円

(2) 障害者の就労支援の充実と勤労意欲を促すために、年収500万円未満の世帯については負担上限額を40,200円の半額とするようお願いします。



将来展望
【 最終的には財源問題です 】
《参考》 参議院厚生労働委員会付帯決議(平成17年10月13日)
十 基本指針の策定に当たっては、現行のサービス水準の低下を招くことなく、障害者が居住する地域において円滑にサービスを利用できるよう、サービス提供体制の整備を図ることを障害福祉計画に盛り込むこと、計画の策定の際に、障害当事者等の関係者の意見を聴く機会を設けることについて明記すること。
障害者福祉計画:都道府県・市区町村で策定される障害福祉全般に関わる計画策定(策定は義務的でない)
―――→ 学識経験者、地域の障害者、一般住民等が参画して策定
障害福祉計画:市町村(首長)に義務ズけられており、障害福祉予算策定のための計画。
―――→ 市町村の障害担当部署職員が策定


「消費税アップで障害者福祉目的税として障害者福祉」か「介護保険」かの選択肢
障害者福祉目的税が実現した場合、障害者福祉会計として特別会計とする

介護保険か障害者福祉目的税かにしても、上記4課題の内3課題、①負担②重度障害者の扱い③移動、は財源問題として残る。
従って、障害者福祉の今後の展望として、今回の障害者自立支援法での制度改革では、どちらにでも対応できる方向での着地点を見出すことが必要。
(1) 消費税アップで「負担の問題=所得保障の問題」として解決する将来的展望を早急に明確化するべきです。
《参考》 参議院厚生労働委員会付帯決議(平成17年10月13日)
二、・・・・社会保障に関する制度全般についての一体的な見直しと併せて、障害者の所得の確保に係る施策の在り方の検討を速やかに開始し、三年以内にその結論を得ること。
(2) 介護保険の外枠であるまず「重度障害者の扱いと」と次いで「移動介護」を、障害者自立支援法でどのように位置づけ優先課題として解決するか、その方策を提示すことが必要です。

⇒ これらの課題、特に「重度障害者の(生命に関わる)介護保障」と「所得保障の将来的展望」「移動介護の扱い」を明確に打ち出すことが、障害者自立支援法案にとって不可欠です。